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本のご紹介、読書日記

マーケット感覚を身につけよう 「これからの何が売れるのか?」分かるひとになる5つの方法   ちきりん

マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
ダイヤモンド社



令和の時代の幕開けですね!!


そんな時代のスタートを切るのは、『自分のアタマで考えよう』の著者でもあり、日本有数のアクセス数を誇る人気ブロガーのちきりん氏が「マーケット」の考え方を甲子園など身近な例を上げつつ分かりやすく解説してくれる本書の紹介です!




ではでは、さっそく行ってみましょう!




みなさんは、道端で金塊を見つけたらどうしますか?


おそらく、写真を撮ったり、持ち上げたりして目の前の金塊に大興奮するでしょう。


なぜなら私たちは金塊の「価値」を知っているからです。



では、幼稚園児だったらどうでしょうか?


目の前の大きな塊が何なのか分からず、食べられそうもなくつまらないので興味を示しません。


幼稚園児には金塊という「価値あるもの」に対する「価値を認識する能力」がないからです。



他にも価値を認識する能力に関していえば、高学歴で大企業に就職したにもかかわらず、自分には何の価値もないと思ってしまう人がいます。


彼らは、自分にはスキルが足りないなどと考えてしまいがちですが、本当に足りないものは「価値ある能力」ではなく「自分という価値を認識する能力」です。



彼らのように、すばらしい学歴や職歴を持っているにもかかわらず不安に押しつぶされそうな人がいる一方、ずっと少ないものしか持っていないのに、「なんとかなる」「なんとでもなる」という自信とともに世の中を生きていける人がいます。


ここでの両者の違いがまさに「売れるものに気が付く能力」であり、「価値を認識する能力」なのです。


本書では、筆者である人気ブロガー「ちきりん」さんが、これを「マーケット感覚」と呼んでその価値と有益性や身に着け方を身近な例で解説してくれます。







市場と価値とマーケット感覚


価値とはなにか?


例えば、米がある村で売られているとします。
そこでは複数の業者が競合しあっています。

すると米の価格は下がっていきます。

では、業者が1つしかなかったらどうでしょう?

値段は変わらないはずです。

これを「独占状態だからでしょ」と考える人が多いですが、筆者はそれは違うと言います。

では、米ではなくスイカの場合はどうでしょうか?

もし業者が1つだとして、スイカを高値で売ることが出来るでしょうか?


おそらく、不可能です。


理由は分かるでしょうか?


ズバリ、スイカは米と違って生活必需品ではないからです。なので、たとえ市場に1軒のスイカやがあっても、価格を吊り上げることは出来ないのです。


つまり、米が高く売れたのは独占状態だったからではなく、「米にはスイカにはない価値」があったということです。


ここでのポイントは、米の市場で取引されているものが、米というモノではなく「食卓に必要不可欠な主食」という「価値」だということです。


一方、スイカ市場で取引されているものは「おやつとしての嗜好品の価値」であり、米とは異なります。


世に出回っている商品だけでなく、自分が売る商品、サービスに対しても、「売っているものの価値は何か?」と考える癖をつけるのが重要です。






マーケット感覚で変わる世の中の見え方



消費市場と貯蓄市場の競争


世の中の市場には、「お金を使う世界」と「お金を貯める世界」との競争が存在します。


一般の人は、「銀行にお金を預ける」「住宅ローンを借りる」という言い方をしますが、金融機関で働く人から見れば、「定期預金を売る」「住宅ローンを売る」となります。


つまり、お金を貯める市場は一見、消費者からしたら「預金」ととらえられるが、貯蓄市場からすれば「貯蓄」という商品を売るという「消費」につなげている。


いわば、金融関係で働く人たちは、「貯蓄⇒消費の考え方が出来ているということです。



一方、消費材メーカーやサービス業は


子ども1人を育てるのに何千万円も必要だ!だから貯蓄を!


と呼びかける金融機関に対して


子どもが1人いれば、老後の費用はうんと安く済む!むしろ一緒に旅行や食事を楽しんでおくなど子どもや孫と仲良くなっておいたほうが、老後は安心です!


と宣伝できるはずなのに、そんな広告は見かけません。


他にも


死ぬときに何千万円も溜まっていたら、それで幸せでしょうか?お金は生きている時にこそ有意義に使いましょう!


というキャンペーンがあってもいいはずなのに、目につくのは


老後に備えて貯蓄を!


という貯蓄市場の広告ばかりです。


つまり、消費市場は「消費⇒消費」ばかりで、「貯蓄⇒消費」の視点が足りていないということです。





マーケット感覚で見るボランティア市場


マーケット感覚を身に着ければ、ボランティアだって市場的にみることが出来ます。


たとえば、難病の子どもに海外での臓器移植が必要となれば、時には1億円の寄付が集まりますが、難病の中高年がいくら貧困にあえいでいても、国内での治療費100万円だって寄付を募るのは至難のわざです。


ここでいえることは、「私的援助市場」においては子供は大人より圧倒的に競争力があるということです。


他にも、特に日本では「カンボジアの子ども」の競争力が高く、学校建設を行うテレビ番組まであるほどです。しかし、障害者施設の建設となるとそうはいきません。


ここでも、残酷な言い方をするならば「カンボジアの学校は、日本の障害者支援施設よりも私的支援市場において競争力がある」と言えます。


ボランティアにおいても、「寄付をしたい!」という「需要」と、「支援を受けたい!」という「供給」の構図が見えてきます。







すべては「価値」から始まる



「選んでもらう」という価値


世の中には、商品を買う際、「自分ではなく他人に選んでほしい」と考える人が少なからず存在します。

例えば、店側が好みのブランドの洋服や雑貨を取りそろえる「セレクトショップ」は身近な例です。

ここで売られているのは「商品」ではなく、「商品選択のセンスと、その商品を並べる手間」です。

つまり、お客さんは、「自分の価値観に見合った商品を選んでもらう」という価値にお金を払っているのです。





「本」ではなく「本を選ぶセンス」を売る書店



「選ぶという価値を提供する」という観点でいえば、もう1つ面白い試みをしている例があります。



北海道の砂川市にある「いわた書店」では、「あなたにピッタリの本、1万円分選んでお届けします!」というサービスで注目を集めています。



いまや、本なんて売ってももうからない時代。



それを逆手にとって「本を選んであげる」商品を売っているというのが先見の明が窺える部分です。




他にも、人工知能を使った「SENSY」という、コーディネートアプリも存在します。


人工知能によってユーザーの好みを分析し、ネット上で売られている洋服から、ユーザー好みの服を探してきてくれるのです。



いわば、



「このモデルさんの服が欲しい」「あの人のセンス、羨ましい!」


という思いをカタチにしたサービスです。





「日本で売れた!」は武器になる


「メイドインジャパン」を売りにする製造業者は多いですが、意外にも「SOLD in JAPAN」は見かけません。

「日本製」にこだわりがあるあまり、「日本で売れた」をという価値に気づいていないのです。


日本の消費者は要求水準がとても高いため、日本市場はしばしばテストマーケティングに使われたり、ブランドの信用補強にとても役立つのです。


つまり、「日本で売れた」は「クレジット(信用力)」として通用するのです。




高校野球が持つ、潜在的な価値


プロスポーツの市場で取引されているのは(=観客が求めているのは)


「思わず感嘆してしまうような高いレベルの技や、手に汗握るパフォーマンス」という価値

ですが、高校野球で取引されているのは


「全力で戦ったにもかかわらず、時の運で勝ったり負けたりする理不尽さや、技術レベルが低くても、気合と根性でがむしゃらにたちむかう若者たちの物語」

であり、観客に提供されている価値が両者で異なるのです。





自分という価値



冒頭でも挙げたように



「自分には何の取り柄もない」と考えてしまう人の思考回路として



「今、自分には雇ってくれる人はいない」
       ⇓
「自分の労働力には、値札が付いていない」
       ⇓
「だから自分には、価値がない」


というものがありますが、自分にある価値に気づけるかそうでないかで、身近にある大きな価値の塊に気づけなくなってしまいます

「自分には何の取り柄もない」と考えてしまう人に足りないのは「取り柄」ではなく「自分という価値」に気づく「マーケット感覚」なのです。



自分独自の価値基準を持ち、プライシング能力を身に着けるには、ついている値段をいったん忘れて、「この商品、このサービスの自分にとっての価値はどれくらいだろうか?」と考える習慣をつけることです。


そうすると、「自分にとって何が価値であり、どんなものに、どれだけの価値があるのか」が分かるようになっていきます。



「自分独自の価値基準」が持てれば、値札のないものにも価値を見出すことが出来るようになります。


潜在的な価値に気づくマーケット感覚は、そうやって鍛えていくものだそうです。




フィードバックを得るために市場に出す



「これは売れる!」「高い評価を得られるはずだ!」




みなさんには、そう自信をもって世に送り出した商品やサービスが、世間の人にまったく見向きもされなかった経験があるのではないでしょうか?



市場は、言葉ではなく結果で、厳しいフィードバックを突き付けてきます。


しかし、「市場でモノを売る」というのは、「売ってみて、売れるかどうかを見て終わり」ではなく、「これでは売れませんよ」という市場からのフィードバックを得、そこからどう売り方や商品を改善するためにあるのであって、とりあえず「売ってみる」のです。


つまり、成功するためではなく、成功に不可欠なヒントを得るために売るのです。



ですから、最初から結果なんて求めてはいけないということです。


人気ブロガーやアフィリエイトで収入を稼ぐ人たちは、最初から素晴らしい文章が書けたわけではありませんよね。


人気YouTuberだって、初期の動画はひどいものです(じぶんにそんなこと言えるほどのセンスなんてないのは承知の上です(笑))




ですので大切なのは



「とりあえずやってみる⇒失敗する⇒市場からフィードバックを得る⇒それを参考にしてもう一度やってみる」というプロセスを出来るだけ何度も繰り返すことです。


大事なのは、「やってみる」ということ。失敗なんて当たりまえ。むしろ出来るほうがおかしいのですから、恐れてはいけません。




自分がこうやって読書ブログを書いているのも、いつか日を浴びる日を迎えるためです。


だから、閲覧数なんて全然多くないし、胸張って言える特技ではありません


「とりあえず書いてみる」をアウトプットするための手段に過ぎないのです。





おわりに


ちきりん氏の文章から引用


世の中には、「自分には何の取り柄もないから、市場で生きていくなんてとても無理だ」と感じている人が多くいます。それはまるで、「わが村には何もないから、公共事業や融資で助けてもらわないとやっていけない」と考える自治体と全く同じです。

しかしそので一方で、

「山しかない。山しかないから、山でとれるもので勝負しよう」と考える村もあります。

人も村も、市場で売れる価値をみつけられるかどうかは、マーケット感覚の有無にかかっているのです。

自分を変える習慣力   三浦将

自分を変える習慣力 (Business Life 1)
自分を変える習慣力 (Business Life 1)
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
2015-11-24



副題の「コーチングのプロが教える、潜在意識を味方につける方法」ということで、何か目標を立てて習慣づけをしようと思っても、三日坊主……。


そんな経験は誰しもがあるとおもいます。


その「習慣づけ」を、潜在意識を上手に活用することで簡単に行う方法をご紹介してくれるのがこの本です。


目次


prologue: 自分を変える習慣力
chapter:1 習慣化への4ステップ
chapter:2 潜在意識を味方につける
chapter:3 頑張らなくていい理由
chapter:4 習慣は才能を超える
chapter:5 スイッチとなる習慣の見つけ方
chapter:6 仕事・生活習慣の磨き方
chapter:7 人生を根本から変える習慣




良い習慣1つで悪い習慣全てが変わる

あるサラリーマンの話。


毎朝5時に起きる生活リズムを身に着けると、出勤までの時間を英会話の勉強や読書、新たな事業モデルの構築、ランニングなどの運動などに使うようになった。
さらに連日の飲み会も、朝起きるためにきっぱりと断るようになり、飲酒量も激減した。
そして、同僚の付き合いで吸っていたタバコもやめるようになったという。


このように、毎朝朝5時に起きるというたった1つの習慣が、様々な良い習慣を呼び込んだだけでなく、悪い習慣も断ち切るようになったのです。



無意識レベルを目指す


無意識➡意識➡無意識


習慣化には段階があって、最初の「無意識」は、「知らない」という状態です。
例えば、自転車に乗れない子供は、自転車の乗り方を「知らない」状態です。

そして次の「意識」の段階では、その行動が「出来る」「知っている」状態です。

さいごに、その行動を意識しなくても「やっている」という「無意識」の段階です。

習慣化は、意思をほとんど働かせなくても自然に動作を「やっている」状態を目指すことです。いわば、動作を自動化するということです。


習慣化の初期段階で最も重要なことは…



成果ではなく定着


習慣化の最初の段階で大事なのは、「成果を上げること」ではなく「定着させること」です。

例えば、ダイエットのための運動や食事制限の習慣を定着させるために、最初の3週間はどんなに体重が減らなくても続け、体重の増減に一喜一憂しない事です。


これを3週間続ければ、運動や食事制限が「当たり前」になり、「もう少し走りたい」くらいの感覚で続けていると走ることが「快の感情」と結びつき、さらなる効果が期待できます。


また、習慣化したい行動やノルマは、目に見える形のものが良いです。


ですのでポイントは、頑張らない無理しない、そして日々粛々とやることです。



続けることが大事。成果は後からついてくる



脳力を上げる習慣とは


快適領域を超える


「快適領域」とは、いわば「ぬるま湯地帯」。すでにできることや、チャレンジせずに出来てしまうことです。


人は、慣れ親しんだことのほうが安心であり、何か新しいこと、チャレンジが必要なことに対しては不安を感じます。


しかしその一方、快適領域を超えることには大きなメリットもあります。


快適領域を超え、新しいことや難しいことにチャレンジしようとすると、それに対応するために脳内のニューロンに新たな強い結合が起こり、脳のレベルが上がって頭が良くなるうのです。
まさに、ポテンシャルが上がる瞬間です。



普段やらないことをやってみる習慣


新しいこと、難しいことにチャレンジするための近道は「普段やらないこと」をやることです。


少しずつ、小さなステップで普段やらないことをやってみる


すると少しずつ快適領域を超えて快適領域が広がります。


前まで「チャレンジ」だったことが「当たり前」になるのです。


例えば、
・駅から自宅までの帰宅ルートとは違う道で帰ってみる
・普段あまりしゃべらない人をランチに誘ってみる
・エレベーターではなく、階段を使ってみる


こんな小さなことでも、脳にとっては快適領域を超える経験であり、決断グセがつくようになります。



目的論で考える習慣とは


「なぜ?」という質問をどう使い分けるか


みなさんは、トヨタの「5回の質問」をご存知でしょうか?

現場で起こっている事象の原因追及のために、「なぜ?」を5回問うのです。

この「5回のなぜ?」によって根本の原因が分かるというのがトヨタの理念なのですが、これを社内で習慣化しようとしたときに、なぜ?を5回ぶつけることが目的となってしまい、「なぜ?」の対象が「物事」ではなく「人」に対して向けられてしまう、という問題があります。


そうすると、原因追及どころか相手の人格否定につながりかねません。


「なぜこの部品が欠損した?」と使うべき「なぜ?」を「なぜ、あなたはその欠損に気づかなかった?」という犯人探しになってしまうのです。





視点を変える


こうならないために、「なぜ?」を未来志向の「どうしたら?」に変えてみるのです。


「なぜ、部品の欠損が起こった?」よりも「どうしたら、欠損は起きないだろうか?」のほうが再発防止に繋がりそうではないでしょうか?


この「どうしたら?」という考え方が、目的論で考える方法です。




「どうしたら?」と考えるクセをつけよう



心を安定させる習慣


とらえ方で世界を変えるABC理論


A: Activating event(出来事)
B: Belief(信念、価値観)
C: consequence(結果)

例えば

A:「あなたの広告案には、具体的な成果が盛り込まれておらず、今1つ伝えたいことが分からない」

という侮辱的な指摘をされるという出来事があるとします。

すると捉え方として

①「ふざけるな、他部署のあなたに何が分かる!」
②「困ったな。ほかにプレゼンは用意していないのに」
③「鋭いところを突かれたな。真剣に聞いてくれているんだな」
④「確かにその通りだな。そこを明確にすると、さらにいい案になるな」


の4つが挙げられます。


さて、どの捉え方が一番効果的かつ周りに害を与えないでしょうか?


④ですよね。


①や②の消極的なとらえ方ではなく、③や④の積極的なとらえ方は、豊かな感情をもたらします。


このように、とらえ方1つ違ったら世界はガラリと変わります。


自分だけでなく、周りをも不快にさせる①や、不満だけを口にして解決しようとしない②などよりも、相手の意見を真摯に受け止め、自らの成長につなげようとする姿勢は大事ですよね。



どうやって、積極的にとらえるか?


「③や④のようなとらえ方が大事なのは分かるんだよ。それができないからみんな苦労しているんだ!」


というような声が聞こえてきそうなので、本書で紹介されていたテクニックというか考え方のコツを書こうと思います。



コツ: 今のとらえ方は積極的か?と自分に問う


相手に対する反応が積極的かどうかを逐一確かめる習慣をつけてしまえば自ずと積極的なとらえ方が出来るようになると思います。



終わりに


習慣かを身につけて成功した人は何もある日突然、「素振りを一日1000回やろう」とか、「一日10キロ走ろう」とかが出来るようになったわけではありません。

みなさん、段々と回数や距離を上げていった結果です。

最初は10メートルも飛べなかったスキージャンパーが、20、30と毎日距離を少しずつ延ばしていった結果、140メートル跳べるようになるのと同じです。

自分もあせらず「とにかく続けること」を目標に、「続けられている喜び」を噛みしめながらそんな自分を褒めつつ頑張ろうと思えました。

やりたいことがある人は未来食堂に来てください 小林せかい

やりたいことがある人は未来食堂に来てください  「始める」「続ける」「伝える」の最適解を導く方法
やりたいことがある人は未来食堂に来てください 「始める」「続ける」「伝える」の最適解を導く方法
祥伝社





みなさんは、未来食堂をご存知でしょうか?


筆者である小林せかいさんが東京工業大学を卒業して日本アイ・ビー・エム、クックパッドに就職したのち、「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所」をコンセプトに、東京千代田区一ツ橋にOPENされた食堂です。


この未来食堂は、メニューは日替わり1種類のみ着席3秒で食事ができる、「ただめし」「まかない」「あつらえ」「さしいれ」などの今までの飲食店には珍しいシステムを導入し、「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」などのメディアにも取り上げられるなど、注目を集めています。


また、新しい事業を始めたい人が、何かを学びに日々お手伝いに来る。その数、年450人!




そんな、今大注目の未来食堂、小林せかいさんが「何かを始める上で大切なこと」をまとめたのが本書です。


では、さっそく未来食堂のシステムや彼女の考え方をご紹介していきます。



気になった点


環境が、あなたの行動にブレーキをかけるのではありません。

あなたの行動にブレーキをかけるのは、ただ一つ、あなたの心だけなのです。  


(「日経WOMAN」ウーマンオブザイヤー2017 受賞スピーチより)



小林せかいさんは、理系出身で女性。


飲食店を始めたいと決心した時、周囲からは


「女なのに理系でしかも料理未経験かよ。上手くいくのかねぇ」


というような声があったそうです。


しかし彼女は、何かを始めるのに才能は必要ない。知識が足りなければ努力あるのみというスタンスのもと、地元の図書館の料理雑誌を片っ端から読み漁り、すべて読破したそうです。


スタート地点が低くても、どれだけそこから詰め込むかで結果は変わってくる、と本書で述べています。



ユニークなシステム



メニューは日替わり1種類のみ



着席3秒で食事できる



メニューは日替わり1種類のみなので、オーダーを取る必要がなく、料理を待つ時間も短縮されるため、非常に合理的です。


料理90点、待ち時間15分よりも、料理80点、待ち時間5分の方がお客さんの満足度は高い、というのが彼女の考え方。
飲食店の根本は、お客さんを満足させること、という本質を忘れない哲学が垣間見えます。



あつらえ  —おかずをオーダーメイドできる


メニューは1種類だけですが、冷蔵庫の材料で簡単な一品をオーダー可能です。


メニューという形でお客さんに提示すると、食材が1種類切れただけでもほかの食材が活用できなくなりロスにつながります


しかし、「あつらえ」はその時冷蔵庫にある食材だけでやりくりするスタイル


ロスも出ないし、お客さんにとっては自分だけの一品が提供されるという特別感を味わうことが出来ます



・まかない   —50分のお手伝いで1食無料


1日最大7枠設けたこの「まかない」は、飲食店開業を目指す方が修行に活用したり、未来食堂のシステムを学びたい方、単に食事をタダで食べたい方などなど、多様な目的をmた方々が利用します。


このシステムはせかいさんが修行時代、「3か月や1年そこらでは使い物にならない」と、修行のお願いをするも門前払いを食らい、「やる気のある若者が1年働いて使い物にならないなんて絶対のおかしい。3か月どころか1ヶ月、1週間、1日、いや1時間に満たなくても絶対に役立てることはあるはずだ」と考えて考案した仕組みです。


このように、「おかしい」と素直に思い「何か改善できることはないか?」と考えることがひらめきの第一歩となることは非常に多いと思います。



何かを始める前に知っておきたいこと  —考え方



1.「自分がやりたいこと」を深堀りする





人から褒められる事、世間体が良いことを無意識に選んではないか?


どんなことでも、絶対に実現したいことがあればその可能性は広がっていくと彼女は言います。



2.「当たり前」を解体する



「本当はこうしたいけど仕方ないか」と思い込んでいることはないか?


その違和感をとことん考えることで「当たり前」を解体できる、と彼女は言います。



3.必ずしも満点である必要はない


「満点でないからお出しできません」で、果たして誰がハッピーになるのか?


満点でなくても相手がそれで満足できればいい



何かを始める時、やること


・学習   —徹底的に既存を学ぶ


”新しいこと”を「既にあること」と「本当に新しいこと」に分解する。



自分が新たに始めたいと思ったことは、世の中ではすでに新しくないということがあると思います。


そんな時の考え方として、自分が思った新しいことを客観的に、「世に既にあること」と「まだ世の中にないもの」に分ける。


そして、基礎である「既にあること」を徹底的に学習することで「新しいこと」が成功する確率が上がると言います。



・絵を描く   —明確にイメージできれば、完成したも同然


なぜ「話しても伝わらない」のか?


自分のプランが話しても伝わらないということがあると思います。


それは


「言語化できるレベルまで落とし込んでいないから」
「相手がワクワクするレベルまで絵が描けていないから」


の2点に原因があると言います。


そして2つ目の要因に引っかかる人が多いと言います。


人は、自分に関係があること・利益があることにしか反応しません。


ですので、相手の立場に立ってプレゼンする必要があります。


説明の仕方を変えるだけで自分の考えの印象がガラリと変わると言います。



感想


なにかを始める上で大切なこと、心に留めておくべきこと、気を付けたいことなどを自身の「未来食堂」オープンの経験という観点から分かりやすく解説されていたので読みやすく、説得力に溢れていました。


「行動力」うんぬんが書かれた本が巷には溢れていますが、こて先のテクニックではなく本質的な部分をせかいさんは教えてくれました。


「常識を疑うには、既存の常識をとことん学べ」


印象に残ったせかいさんの言葉の引用で感想の括りとさせていただきます。