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本のご紹介、読書日記

『あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる』 竹内健蔵

あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学 (日経ビジネス人文庫)
あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学 (日経ビジネス人文庫)
日本経済新聞出版社



今回は経済学の中の「機会費用」の考え方に関する本の紹介です!


機会費用とは、簡潔に言うと「ある行動をとった時、その代わりにできた行動の価値」のことです。例えば、暇な時間に①本を読む ②スマホをいじる の2択の選択肢があった時、本を読みたいという欲求があれば、①の価値が高い、つまり②の機会費用が高いということ。


このような機会費用の考え方を、日常生活に溢れている物事に当てはめて単純明快に、読みやすい文章で考察していく


面白かった部分


空き地は無駄なのか?


土地を空き地のままにして放置することは、コインパーキングやコインランドリーにして有効活用することで得られる機会費用を放棄しているということ。この機会費用の垂れ流しを防止するには土地保有に対する税を高くして、土地を譲渡(相続や贈与)する事に対する税を低くすれば土地は有効活用され、結果として国力の増大につながる。


電柱は立っているだけのムダな存在なのか?


無電柱化を進めるメリットは・景観を維持できる
             ・台風で電線が切れて垂れ下がっても感電のリスクがない
電柱がある事でのメリットは・暴走車を衝突によってせき止め、被害を軽減する
             ・街頭や広告、道路標識などを併置できる
このように、無電柱化の議論は「電柱の役割」=無電柱化の機会費用と「無電柱化の利益」=電柱があることの機会費用を比較して考えていかねばならない。そうすると、一概に「電柱は不要だ」とは言い切れないのである。


・インフラを作り変えても経済効果はないのか?


都市における水道は新幹線、鉄道の新設などのニュースは人々に交換や歓迎を受けるが、その改築や修繕のニュースは報道されにくく人々の関心を集めない。しかしこれも、改築や修繕による経済効果すなわち放置することの機会費用が莫大であることを考えると可笑しな現象だと言える。これら機会費用の考え方を認識できていれば、新規開業のコストや経済効果=修繕・改築のコストや経済効果だと理解できるので、インフラの補修や修繕のニュースも新規開業のニュースと同じくらい注目を集めるに等しいものだと考えることができる


・弁護士への相談料はなぜ高額なのか?


法曹の資格を持つ弁護士と、大学教授や大学院の学生に法律相談をするのでは金額が違う理由も機会費用の考え方で説明できる。専門の弁護士が法津相談に乗るということは、実際の案件という本来の業務を放棄していることになる。この放棄による機会費用が法律相談の金額に上乗せされている。一方、法学部の大学教授や大学院生の法律相談に乗ることによる機会費用は、教授は雑務、学生はアルバイトなどによる費用であるからその機会費用は安い。つまり、弁護士の機会費用>教授や大学院生の機会費用なのだ。誰が法律相談に応じるかによる報酬の差も機会費用の考え方で説明できる。


・高級ブランド品はなぜ高価なのか?


ブランド物の製作に高品質な材料や機材が使われていることが価格のつり上げになっていることは容易に思いつく最初の理由だが、他にも製作に携わる職人さんの技術力に関する機会費用が挙げられる。大量生産による製品一個当たりの価格は、職人さんが丹誠を尽くして長い時間をかけて作った製品の価格より断然安い。
つまり、職人さんの機会費用は機械を用いた大量生産の機会費用よりも遥かに高価なのだ。さらに、高級ブランド品の製作においてはほんのわずかなキズがついた製品を廃棄することもしばしば製品歩留まり率(全生産品における完成品の割合)が低いことを逆手にとって、店頭に並ぶ商品となるのはほんのわずかであることをアピールすることもある。従ってブランド品の価格には、商品にならなかった製品の機会費用も含まれており、消費者は廃棄される商品の穴埋めまで背負わされていると言える。


・レンタルDVDに延滞料金が発生するのはなぜか?


ホテルの仮予約や商品のお取り置きでは、それをキャンセルしたり期限が切れてしまったことでお金は取られない。一方、レンタルDVDでは料金が発生する。この違いも機会費用の考え方で説明できる。前者は顧客がまだサービスを享受しておらず、後者は享受している。前者はホテルサービスやお取り置き商品がその提供者のもとにある。だから、他の客が現れないうちは仮予約やお取り置きという形で提供を一時遅らせることができる。一方、後者では顧客がDVDを期限内に返さなかったことでレンタルショップはほかの客にレンタルすることで得られる利益を失わざるを得なくなる。商品が手元にないからほかの客に貸したくても貸せない。従って、レンタル期間を過ぎたことで発生した機会費用(ほかの客に貸して得られる儲け)を借り手が負うというのが延滞料金なのである。店は顧客を確保したいが損失を被りたくない(機会費用を発生させたくない)という板挟みの状況の中、なんとか利益を得ようとしている。


・なぜタクシーに乗ると追加料金が発生するのか?


タクシーで混雑などによって目的地への到着が遅れたにもかかわらず追加料金を払わされた人は多いという。一方、JRなどの特急列車は2時間以上の遅れが発生した場合、運賃を払い戻してくれるという。この差は何なのか?これは、誰が誰に機会費用を発生させているのかということに違いがあることで生まれる対応の差である。
タクシーは、目的地とそこまでのルートなどを客に委ねており、タクシー運転手には空いた道を短時間で快適に走る選択肢と混雑した道を長い時間かけてイライラしながら走る選択肢がある。もし客が後者を選んだら、タクシー運転者が得られたはずの前者の利益を客が奪うことになる。混雑している道をイライラしながら走行している間にもほかの客を乗せて快適に客を目的地まで運んで利益を得られたはずなのだ。だから、この「他の客にサービスを提供することで得られる利益である機会費用」は乗客が発生させており、それを埋め合わせるために追加料金が存在するのである。
特急列車は、乗客の信頼と時間を頂いてサービスを提供する。もし予定よりも遅れてしまったら、いかなる理由があったにせよ客が本来もっと早く目的地について費やせたであろう予定や時間をJRが奪ってしまったことになる。この機会費用を発生させているのはJRであり、それを負担しているのは客である。これでは客が損失を被ったままになってしまう。だから、運賃の一部を「客が本来費やせた時間である機会費用」の埋め合わせとしてJRが負担しているのである。


・なぜ出前は無料なのにタクシー送迎は有料なのか?


出前は調理に携わる料理人を使わず、大学生などの専門の技術を持ってないものでも運転さえできれば担えるという側面があり、大学生が出前のアルバイトをすることで失われる機会費用は断然少ない(大学生の時間価値のほうが料理人の時間価値よりも断然安い。花見の場所取りを社長や課長などのお偉いさんではなく新米社員が担うのも同じ理屈。)。料理人を出前に駆り出す機会費用よりも出前専門のアルバイトを雇う機会費用のほうが安いから出前によるアルバイト料を商品価格に上乗せしても利益が出るし、良心的であることもアピールできる。
タクシー送迎は街中を走っているタクシーを客が呼び出すことで、途中に手を挙げてタクシーを待っている人を見過ごしてしまう可能性を客が生んでしまう。だから、手を挙げていた客を乗せることで得られた利益をタクシー送迎料として、タクシーを呼んだ客に負担させているのである。街中を走るタクシーに乗るのは無料だが、呼び寄せるのは有料。この間に位置しているのが駅前やホテル前で待機しているタクシーに乗ることだ。これは無料なのだが、その理由は駅前やホテル前で待機しているのは運転手の意思であり、客がそうさせているのではなく、それにより生まれる機会費用を運転手が背負ってまで客を拾えると運転手自らが判断したからに過ぎない。


・なぜ割り込みは悪いのか?


行列というのは、ある権利を得るために自らの時間を売って、並ぶことによって並ばなかったら他に利用できた時間や労力を負担・破棄している人たちの集まりであり、機会費用が高い順に前から並んでいる。その行列に割り込むということは並んでいる人が犠牲にした機会費用を支払わずに利益だけ得ようという姑息な手段であるから当然非難される。並ぶということは「自らの時間を支払っている」と言える。その代わりに金銭の形で追加料金を払って列に並ばずサービスを受ける制度はしばしば世間から冷たい目で見られる。「お金がある人を優遇しており、お金がない人を排除する不公平な制度だ」と。しかし、行列に並ぶのにかかる「時間としての費用」を「金銭としての費用」で支払っただけに過ぎないのだから平等であるはずだ。並ぶことで生まれる時間や労力などの機会費用は、並ぶ代わりに他の人をお金で雇って並んでもらう機会費用と同額である。世間がこれを認めないのは、お金は客観的な尺度で測られる公平なものだが、時間の価値を平等な尺度で図るなど不可能であると考えているからではないか?
「カネがあってもヒマがない人」と「ヒマがあってもカネがない人」を平等に扱う制度設計が必要である。


・なぜ加入者にもボーナスマイルを与えるのか


航空会社のサービスを購入するとポイントのように航空会社から貰えるマイルは空港内で買い物に利用出来たり何かと便利なものである。これを、飛行機を利用しなくても定期的に貰えることがある。これは、定期的にマイルを支給することで他のマイレージクラブに乗り換えることで発生する機会費用(乗り換える前の航空会社から貰えるマイレージポイント)を高くして、利用者が他のマイレージクラブに乗り換えるハードルを高くする狙いがある。

『読書は「アウトプット」が99%』

読書は「アウトプット」が99%: その1冊にもっと「付加価値」をつける読み方 (知的生きかた文庫)
読書は「アウトプット」が99%: その1冊にもっと「付加価値」をつける読み方 (知的生きかた文庫)
三笠書房



初めてのブログにふさわしい、読書法に関する本の紹介です!


1章 もっと「本の話」を誰かとしよう
2章 「速読」よりも「乱読」せよ!
3章 読書を最高の「自己投資」にする技術
4章 「お金を稼ぐ人」は、本をこう読む!
5章 私は、こんな本を読んできた



この本が伝えたいことはいたってシンプル。
本は読んで終わりにするな!(インプットで終わるな!)」
「読むだけの読書」から「話す」「書く」「行動する」の、読後のアウトプットによって読書に「付加価値」をつけろ!


このテーマを中心に、著者はアウトプットの具体的な方法、意義、価値を模索していく


印象的な部分



  • 本から学んだことに付加価値をつけよ
  • 本からの学び+自分の感想+経験談+実践した結果➡アウトプット(人に話す)
  • 本に書いてあることを「何かに使えないか」という視点で読む
  • 読書で「要約力」「俯瞰力」が身に着く
  • 本のハウツーを実践した結果が「付加価値」となる
  • アウトプットの基本は、本の感想に終始せず、そこから何をどう学んだかどう活かそうと思ったかという、自分なりの意見を加えること
  • 書評を書く時の3つのポイント ①何が書いてあったか ②そこから何を学んだか ③それをどう活かすか 
  • 仕事と関係ない分野の本」が差を生む
  • 発想力は「今までにない分野」に出合うことで伸びる


さっそく、読むだけの読書をやめようと思い、このブログを開こう。
アウトプットの大切さを学んだからこそ、アウトプットの手法の一つ「本のブログをはじめる」という行動を起こそうと決心しました。