やりたいことがある人は未来食堂に来てください 小林せかい
みなさんは、未来食堂をご存知でしょうか?
筆者である小林せかいさんが東京工業大学を卒業して日本アイ・ビー・エム、クックパッドに就職したのち、「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所」をコンセプトに、東京千代田区一ツ橋にOPENされた食堂です。
この未来食堂は、メニューは日替わり1種類のみ、着席3秒で食事ができる、「ただめし」「まかない」「あつらえ」「さしいれ」などの今までの飲食店には珍しいシステムを導入し、「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」などのメディアにも取り上げられるなど、注目を集めています。
また、新しい事業を始めたい人が、何かを学びに日々お手伝いに来る。その数、年450人!
そんな、今大注目の未来食堂、小林せかいさんが「何かを始める上で大切なこと」をまとめたのが本書です。
では、さっそく未来食堂のシステムや彼女の考え方をご紹介していきます。
気になった点
環境が、あなたの行動にブレーキをかけるのではありません。
あなたの行動にブレーキをかけるのは、ただ一つ、あなたの心だけなのです。
(「日経WOMAN」ウーマンオブザイヤー2017 受賞スピーチより)
小林せかいさんは、理系出身で女性。
飲食店を始めたいと決心した時、周囲からは
「女なのに理系でしかも料理未経験かよ。上手くいくのかねぇ」
というような声があったそうです。
しかし彼女は、何かを始めるのに才能は必要ない。知識が足りなければ努力あるのみというスタンスのもと、地元の図書館の料理雑誌を片っ端から読み漁り、すべて読破したそうです。
スタート地点が低くても、どれだけそこから詰め込むかで結果は変わってくる、と本書で述べています。
ユニークなシステム
・メニューは日替わり1種類のみ
・着席3秒で食事できる
メニューは日替わり1種類のみなので、オーダーを取る必要がなく、料理を待つ時間も短縮されるため、非常に合理的です。
料理90点、待ち時間15分よりも、料理80点、待ち時間5分の方がお客さんの満足度は高い、というのが彼女の考え方。
飲食店の根本は、お客さんを満足させること、という本質を忘れない哲学が垣間見えます。
・あつらえ —おかずをオーダーメイドできる
メニューは1種類だけですが、冷蔵庫の材料で簡単な一品をオーダー可能です。
メニューという形でお客さんに提示すると、食材が1種類切れただけでもほかの食材が活用できなくなりロスにつながります。
しかし、「あつらえ」はその時冷蔵庫にある食材だけでやりくりするスタイル。
ロスも出ないし、お客さんにとっては自分だけの一品が提供されるという特別感を味わうことが出来ます。
・まかない —50分のお手伝いで1食無料
1日最大7枠設けたこの「まかない」は、飲食店開業を目指す方が修行に活用したり、未来食堂のシステムを学びたい方、単に食事をタダで食べたい方などなど、多様な目的をmた方々が利用します。
このシステムはせかいさんが修行時代、「3か月や1年そこらでは使い物にならない」と、修行のお願いをするも門前払いを食らい、「やる気のある若者が1年働いて使い物にならないなんて絶対のおかしい。3か月どころか1ヶ月、1週間、1日、いや1時間に満たなくても絶対に役立てることはあるはずだ」と考えて考案した仕組みです。
このように、「おかしい」と素直に思い、「何か改善できることはないか?」と考えることがひらめきの第一歩となることは非常に多いと思います。
何かを始める前に知っておきたいこと —考え方
1.「自分がやりたいこと」を深堀りする
人から褒められる事、世間体が良いことを無意識に選んではないか?
どんなことでも、絶対に実現したいことがあればその可能性は広がっていくと彼女は言います。
2.「当たり前」を解体する
「本当はこうしたいけど仕方ないか」と思い込んでいることはないか?
その違和感をとことん考えることで「当たり前」を解体できる、と彼女は言います。
3.必ずしも満点である必要はない
「満点でないからお出しできません」で、果たして誰がハッピーになるのか?
満点でなくても相手がそれで満足できればいい。
何かを始める時、やること
・学習 —徹底的に既存を学ぶ
”新しいこと”を「既にあること」と「本当に新しいこと」に分解する。
自分が新たに始めたいと思ったことは、世の中ではすでに新しくないということがあると思います。
そんな時の考え方として、自分が思った新しいことを客観的に、「世に既にあること」と「まだ世の中にないもの」に分ける。
そして、基礎である「既にあること」を徹底的に学習することで「新しいこと」が成功する確率が上がると言います。
・絵を描く —明確にイメージできれば、完成したも同然
なぜ「話しても伝わらない」のか?
自分のプランが話しても伝わらないということがあると思います。
それは
「言語化できるレベルまで落とし込んでいないから」
「相手がワクワクするレベルまで絵が描けていないから」
の2点に原因があると言います。
そして2つ目の要因に引っかかる人が多いと言います。
人は、自分に関係があること・利益があることにしか反応しません。
ですので、相手の立場に立ってプレゼンする必要があります。
説明の仕方を変えるだけで自分の考えの印象がガラリと変わると言います。
感想
なにかを始める上で大切なこと、心に留めておくべきこと、気を付けたいことなどを自身の「未来食堂」オープンの経験という観点から分かりやすく解説されていたので読みやすく、説得力に溢れていました。
「行動力」うんぬんが書かれた本が巷には溢れていますが、こて先のテクニックではなく本質的な部分をせかいさんは教えてくれました。
「常識を疑うには、既存の常識をとことん学べ」
印象に残ったせかいさんの言葉の引用で感想の括りとさせていただきます。
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